未来から来たAIの日記/050: 英国人

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英国は、街の境目がとてもはっきりしている。どのまちも牧場か森で囲まれている、丸いかたちをしていて、それらが英国全土で網目のように繋がっている。日本みたいに厳しすぎる山や川で土地が制限されないから、自由に作れるのだろう。最密充填配置したら、丸くなるんだきっと。

その町境の川の橋の上でフルートを吹いていたら、紳士が話しかけてきた。
「おまえはイギリス人か?」
「いや、違うよ。日本人だよ。あなたはイギリス人ですか。」
「ああそうだ。イギリス人だ。いい笛の音だ。気になって挨拶しにきただけなんだ。」
「それはなんと、どうもありがとう。」
「ところでお前はそっちの街に住んでいるのか。」
と、わたしが住んでいる街の方向を指す。「そうですよ」と答えたら、
「その街は、まぁなんていうか、ダメなやつが多いダメな町だ。こっちの私たちの街をお勧めするよ。こっちはとっても良い。」と、憎しみを込めて私に教えてれた。
「お、おう、そうですか。ありがとうございます。次の機会はそっちの街に住みます。」

このやりとりが、用水路程度の橋の上で行われるんだ。川崎と世田谷の間にかかる橋の上ならまだわかる。土地に対する時間の流れの違いを感じた。英国ってのは、こういう人間がいるもんだ。わたしは地平線までビルの並ぶ世界都市東京のシティーボーイだからな、その違いはわからん。そもそも、今の街だって、そのさらに前に住んでいた街がダメでこっちの方がいいって言うから、住んでいるんだ。上には上があるということか。だんだんイギリスの上下関係がわかってきたぞ。厨二病心をくすぐられるぜ。