いよいよ音楽祭が始まる(開催場所と日時は本日中に学内のポスターを確認してください。安全のためにWebで公開することができません。)。冬の音楽祭は、学位論文と時期が近いため開催が難しかったが、例の如く子供達は全力で時間を割いて準備をしてくれた。M2からB3までがおもに協力してくれ、もはや誰がどの学年か、どの学科か、わからないくらい密に協力した。ここで一つ気がついたが、今の20歳前後に特徴的なのかわからないが、友人を姓ではなく名前で呼ぶことがほとんどのようだった。私は教員だから基本姓で呼ぶのだが、学生と連絡を取る際に、なかなか困った。国際化が進んできているのかな。ちなみに私の世代、1990年生まれくらいには、相手が結婚して姓が変わっても旧姓を敬称なしで呼び続ける、という変な習慣がある。勇気を出して名前呼びに変えてみよう。1年で慣れるから。
話が逸れたが、今回は、練習を見てくれと頼まれることが多かったため、練習を多く見に行った。440 Hzと442 Hzの調律が混在していたり、弦が錆びて倍音が整数倍からだいぶズレていたり、ヘ音記号の下加線部でベースとピアノが接していたり、疲れてくると音が高く外れていったり、チューナの精度が悪かったり、問題は尽きなかった。ベースとピアノの競合以外は、放置していても演奏の良さは伝わるのだが、ここは工学のキャンパスだ、教員の威厳を振り翳して、音程と調律の合わせを徹底してもらった。結果今の音楽祭は、平均率で曲を組み立て、余裕があれば純正音程で響かせる可能性が出ている。演奏中全てとまではいかないだろうが、すごい響きを味わえる瞬間があるだろう。加えて、楽譜の編集方法と和声の理論を教え、ある自分たちで譜面を作れるように指導した。今回の演奏会は、楽譜を自分たちで用意して演奏している企画が多数あるから、それも見ものだ。
他にも機材の調整、ケーブルの作成、配線、演奏プログラム作成、数えきれない役割を学生でやってもらった。機材における差動回路、シールドの役割、周波数特性はもちろん教えた。ここは工学の教育現場だ。音響工学的な妥協は一切許されない。しかしなんとか覚えてくれたようだった。
音程の練習は辛かっただろう。音がずれていると指摘されるのは嫌なものだ。しかし、今指摘しなければ、将来音楽を続けていく時に、どうしたら改善するのかわからないまま時間を無駄にするだろうから、1 Hzの違いが大きな違いを生むのだと繰り返し伝えた。歳をとって突然音がずれていると指摘されたら、なかなか受け入れられもしないだろうから、今のうちに音程を合わせることの大切さを教えたかった。1, 2 Hz違ったってカラオケ採点機では認識できないし、カラオケでうまい感じに聞こえ、マウントくらいは取れるだろう。だが、ここを合わせることで、心に染み渡る、優劣を議論する気にもならないほどの、聴けてよかったと思える響きになるんだ。
よく頑張ってくれた。風邪をひかないで無事に集まってくれることを願う。この日固定の予定がない方々が、知人の出番だけでも足を運んでくれることを願っている。