児童館で雨宿りしていたところに6人の子供たちが集まってきた.8歳くらいか.何かそこでインタラクション(交流)があり,お前は頭が良いのか,と質問された.「毎日鍛えている.良いはずだ」と答えた気がする.「そしたら,IQいくつ?」と1人が言い,「俺IQ2!」「俺20!」などと騒ぎ始める.
まず,幼い子どもがIQというほぼ似非科学を語りだすことに私は悲しかった.マスメディアだろうなこんな害悪な話を多数の子供へ同時に吹き込むのは.2000年くらいに血液型\(\equiv\)性格の同値関係と一緒に広まったんだよなぁ・・・.悲しい.しかも,2って,IQに最小値が存在すると思ってるんだろう.テストの点数ばかりみているから数の概念が縮退してるんだ.しかしここで説教したって始まらない.
「IQが20以下だと発話が難しい.だから君らのIQは2ではない.」
命題を述べてやった.昔学んだ,子供の学習支援のために使われるIQの知識があった.こいつらには丁度いい.そうしたら真面目な顔で目を開いて黙り込む.悪るぶってても意味深な話聞くと真面目に聞いてしまうところ,うちの学生と変わらない.可愛らしい.
それから,3秒くらい経過したら「レロレロレロレロぉ!!」「わちょうちょわちゃわちゃ?だぬだぬだぬ」「びゃあああいあ!」と変顔で無秩序に騒ぎ出した.定義通り言葉を失ったようだ.自らを定義に当てはめ,20以下という,まだ習っていないはずの不等式すら解くすばらしい論理力だ.君らのその行動は依然としてIQが2であることに矛盾する.残念だったな.10年後この矛盾について考えることだろう.
現れた謎の大人が提示する命題は,子供の心に残り思索を促す.常に準備しておこう.
ちなみに,このIQというのは,人の優劣を決める目的のものではない.項目別に測定されて,苦手な箇所を見出し対策を考えるためのものだ.知能の議論でIQを語ることは恥ずかしいのでやめよう.